純営業収益(NOI)の計算方法

更新日:2026年10月12日

純営業収益(NOI)とは、物件が一年間の運営から得る収益のうち、運営費を支払った後、ローン返済と所得税を差し引く前のものです。NOI はほぼすべての不動産分析の出発点となります。キャップレート、債務返済カバー率、不動産鑑定士による価値の推定は、いずれも NOI から始まります。

計算式を知っていることよりも、入力する数値を正しくすることのほうが重要です。このガイドでは各ステップを順に説明し、完全な計算例を示し、結果をゆがめることが最も多い間違いを挙げます。

NOI が使われる場面

投資家は NOI を価格で割ってキャップレートを求め、金融機関は年間のローン返済額で割って債務返済カバー率を求め、不動産鑑定士は市場のキャップレートで割って価値を推定します。これらの数値はいずれも NOI の誤りをそのまま引き継ぐため、NOI をわずか数パーセント多く見積もるだけで、物件が実際よりも目に見えて割安に、安全に、あるいは価値が高く見えてしまうことがあります。

NOI の計算式

NOI = 実効総収入 − 運営費

実効総収入とは、物件が現実的に受け取れる収入のことで、予定賃料にその他の収入を加え、空室や家賃の未払いに備えた見込み額を差し引いたものです。運営費とは、物件を運営し、賃貸し続けるために継続的にかかる費用です。

ステップ 1:潜在総賃料から始める

すべての住戸を書き出し、それぞれが現在の契約賃料または市場賃料で一年間ずっと賃貸された場合に得られる賃料を記入して、合計します。実際の賃貸借一覧(レントロール)があればそれを使い、その賃料が地域にとって現実的かどうかを確認してください。地域の相場を大きく上回る賃料が長続きすることはめったにありません。

ステップ 2:その他の収入を加える

多くの物件は賃料以外にも収入を得ています。駐車場、トランクルーム、コインランドリー、自動販売機、延滞料、入居者に請求する費用などです。毎年繰り返し得られる収入だけを含めてください。保険金のような一度きりの受取額は NOI に含めません。

ステップ 3:空室・滞納損失を差し引く

一年中毎日満室で、家賃もすべて支払われる物件はありません。入居者が入れ替わる間は住戸が空き、家賃の支払いが遅れたり、まったく支払わなかったりする入居者もいます。物件自体の実績や地域の空室データに基づき、総収入の一定割合を差し引いてこれに備えましょう。迷ったときは、楽観的な数値より慎重な数値のほうが適切です。

残った金額が実効総収入(EGI)です。

ステップ 4:運営費を差し引く

運営費とは、物件を所有し運営するために定期的にかかる費用です。主な項目は次のとおりです:

  • 固定資産税
  • 建物の保険料
  • 管理委託費(自分で管理する場合も市場水準で計上)
  • 修繕費、維持管理費、清掃費、植栽管理費
  • オーナーが負担する水道光熱費やサービス料
  • 広告費、入居審査費、仲介手数料
  • 管理組合の管理費
  • 物件に関する会計費用や法務費用

一年分の数値を使ってください。記録が月単位なら 12 を掛けるか、計算機で月額入力を選んで換算を任せましょう。

含めないもの

物件の費用のように思えても、建物ではなくオーナーによって変わるものや、通常の運営に含まれないものは、NOI に含めません:

  • 住宅ローンの返済(利息と元金の両方)
  • 現金の支出ではなく会計上の処理である減価償却費や償却費
  • オーナーの利益にかかる所得税
  • 屋根の葺き替え、窓の交換、全面リノベーションなどの資本的支出
  • ほかの物件の下見に行く交通費など、オーナー個人の費用

大規模な設備更新は現実の費用なので、多くの投資家はそのために毎年積立金を確保しています。積立金を計上する場合は別の項目として示し、一貫性を保ってください。物件を比較する際は、すべて積立金を含めるか、すべて含めないかのどちらかにそろえましょう。

計算例

小さな賃貸住宅を 250,000 で購入しました。賃料は月 2,100 で、オーナーは空室・滞納損失として 5% を見込んでいます。年間の運営費は以下のとおりです。

項目年額
固定資産税2,600
管理委託費1,700
保険料1,100
入居者募集費・広告費300
管理費・共益費0
オーナー負担の水道光熱費600
修繕・維持管理費1,500
年間運営費7,800
年間総収入25,200
空室損失1,260
実効総収入23,940
年間運営費7,800
純営業収益(NOI)16,140
キャップレート6.46%
経費率32.58%

NOI が 16,140、価格が 250,000 なので、キャップレートは 6.46% です。

NOI はキャッシュフローではない

NOI は物件が稼ぐ金額を示します。キャッシュフローは、ローンを返済した後にオーナーの手元に残る金額を示します。上の住宅を住宅ローンで購入した場合、NOI から年間のローン返済額を差し引いてキャッシュフローを求めます。そのため、同じ物件の二人のオーナーは、NOI が同じでもキャッシュフローは大きく異なることがあります。借入額も借入条件も違うからです。

だからこそ当計算機は、まず NOI とキャップレートを表示し、ローンの詳細を入力すると、別のセクションでキャッシュフロー、キャッシュ・オン・キャッシュ・リターン、債務返済カバー率を表示します。

よくある間違い

  • 回収できない賃料を計上する。現実的な賃料を使い、必ず空室を見込みましょう。
  • 前年の費用を確認せずにそのまま使う。固定資産税や保険料は、売買や再評価の後に大きく上がることがあります。
  • 管理費を含めない。あなた自身の時間にもコストがあり、将来の買い手は必ずそれを価格に織り込みます。
  • 月額と年額の数値を混在させる。合計する前に、すべての項目を同じ基準にそろえましょう。
  • 資本的支出と修繕を混同する。日常的な修繕は運営費ですが、建物の設備全体の交換は運営費ではありません。

計算機で NOI とキャップレートを計算する

キャップレートとは?